9月に世界が気候変動解決に向けて動く①「GCAS」と「RISE」について
先日、7月14日に開催した、350.org Japanボラ会議を議題は「9月のGCASの前に行われる、世界規模で予定されているアクションRISEに向けての日本の参加内容」でした。
具体的に出てきた参加内容のアイディアに入る前に、重要となってくる「GCAS」「RISE」キーワードについてご説明します。
GCAS(じーきゃす)とは Global Climate Action Summit の略です。(日本では、世界気候行動サミットなどと訳されています。)
GCASは今年の9月12日~14日米国カリフォルニア州のサンフランシスコで開催される国際会議です。名前の通り、気候変動問題解決に向けた「意欲的な取り組みを次の段階へ持っていく」ことをテーマとしています。集まるのは市民団体、都市や自治体、企業などのいわゆる政府以外である「非国家アクター」と呼ばれているグループです。気候変動問題解決に向けて、様々なプレーヤーがどのような取り組みを行っているかを発信し、新たな野心的なコミットメントを会議で打ち出すことによって「パリ協定」目標達成への世界の気運を高めるものです。この会議を主催する、カリフォルニア州知事のジェリー・ブラウン氏は自身の州が気候変動から受ける影響を真剣に受け止めていて、トランプ大統領とは真逆に問題解決に向けて積極的に取り組んでいる人物として米国では有名です。
ここで、RISE(ライズ)の話に入ります!
RISEというのは、350.orgと世界の協力団体が9月8日に企画している世界規模のアクションです。9月12日より開催されるGCASの前に、世界中の市民が様々なかたちでRISEして(立ち上がり)、100%再生可能エネルギー社会への移行を求めることで、実際の会議を盛り立たせる目標があります。
9月8日に向けたイベントはRISEのウェブサイトを通じて募集されていて、サイトにあるイベント登録数の地図を見るとそれがものすごい数だということが実感できます。9月にも日本でもアクションを起こします!次回のブログ、その参加内容についてご説明しますので、GCASとRISEにむけた日本でのアクションにご期待ください!
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歴史的快挙:アイルランドが化石燃料からの完全撤退を議会決議!
ビル・マッキベン – 350.org創設者
みなさま
アイルランド政府が世界で初めての化石燃料関連会社からの完全なダイベストメントを議会決議し、嬉しさのあまり祝杯のギネスビール片手に書きしたためています。
アイルランド議会最大の力を持つ下院を通過したため、残るは上院での判を待つのみです。アイルランド有する80億ユーロにも及ぶ政府系ファンドが、石油・石炭・ガスからの全資産放棄を開始します。
アイルランドの地で活躍する活動家たちは驚くべき成果を成し遂げ、環境団体の活動家、またカトリックの社会的公正運動がこのような素晴らしい国家的決断へ導いた功績に、畏敬の念を抱くばかりです。
しかし、彼らが特別な存在だったから成し得れたのでは決してありません。ひとりひとりが小さな行動を積み重ね、各国でダイベストメント運動の一員として動くことで、彼らと同じようにこのような結果をもたらすことができます。皆がひとつになって立ち上がることが大切なのです。
アイルランド国会議事堂
これからも吉報は続きそうです。
2018年はニューヨーク市に始まって、各地の大学・世界各国の都市がダイベストメントし、大きな成果を収め続けました。ちょうど昨日には、ケンブリッジ大学のクイーンズ・カレッジがダイベストメントを決定。数日前にはイギリス国教会が、「2023年までにパリ協定に即さない場合、化石燃料関連会社から資金をダイベストする」と(実行はされないとは思いますが)揺さぶりをかけました。
ヨーロッパ最大のエネルギーグループのシェル社は先月の年次報告書で、ダイベストメントの運動が事業に重大なリスクを及ぼすようになったことを公の場で認め、また昨日には、エネルギー経済研究所と財務分析研究所の友人たちが、石油関連会社への投資は将来性がないことを示すレポートを提出。これは大学や教会・市が化石燃料から撤退するために尽力している人々の大きな手助けとなるでしょう。
今、トランプ大統領はアメリカだけでなく、他国も道連れに時代に逆行しようとしている悲惨な状態です。そんな中だからこそ、勝利を盛大に祝う必要があるのです。私たちは明るい未来・ビジョンのために戦い、そして今、我々は勝利をつかんでいます!
いや〜今日はギネスが本当においしいです!
ビル・マッキベン
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[My Bank My Future宣言] 銀行からの回答を公開
先日銀行に提出した「My Bank My Future宣言」署名に関するアップデートです!環境に配慮した銀行業務を求めて1000人以上の署名を9月22
- 三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、
農林中央金庫は書面にて要請書への回答を提供 - 三井住友信託銀行は350 Japanとの会合を了承
- ゆうちょ銀行は10月6日の期限を越してからの回答、りそな銀行は回答は無し
結論として、7行中6行より何等かの回答は得られましたが、
3大メガバンクからの回答には、
しかし、一方で350 Japanが昨年行った調査より提出先の7行は気候変動を加速さ
インドネシアで小エビが取れなくなってしまっている!?
既設の石炭火力発電所の影響で、住民は漁業や農業など生計手段への影響、および健康被害に直面しています。
私たちの税金や預貯金を活用し日本政府や民間銀行がこのような問題を及ぼしている事業に巨額な支援を行っているケースはインドネシアに多数あります。
チレボン石炭火力発電所を覆う黒い雲。西ジャワ州チレボン県アスタナジャプラ郡カンチ村から。
撮影:アルディレス・ランテ(Ardiles Rante)
今年の2月に350.org事務局長メイ・ブーヴィは西ジャワ州インドラマユ県にある石炭火力発電所、そして日本の民間銀行も巨額な支援を行っているチレボン県の石炭火力発電事業を視察し、付近で生活をする住民と対話するためにインドネシアを訪れました。その時の体験談を取材形式でご紹介します。
Q:インドネシアのどの石炭力発電所に隣接するコミュニティを訪れましたか?
メイ・ブーヴィ(以下、メイ):旅路はまず、インドネシア西ジャワ州チレボン(Cirebon)から始まりました。現地の住民たちは、稼働中の石炭火力発電所の停止と、発電所増設計画の撤回を目指して闘っていました。 丸一日、彼らと語り合い、親交を深めました。反石炭プロジェクト運動を率いる彼らこそ、チレボンを特別な場所にしているのです。 さらに、チレボンでは新たな発電所を建設するために、日本の国際開発銀行とメガバンクを始め、約21億米ドル(約2366億円)の融資を決めているという話も伺いました。翌日は、同じ西ジャワ州のインドラマユ(Indramayu)にある別のコミュニティを訪れました。現地の住民たちは、中国が支援し建設されたの石炭火力発電所のせいで、深刻な健康被害を受けています。 日本のJICAもそこで、新たな石炭火力発電所への融資を検討しています。
Q:住民との対話を通じてどのようなことを学びましたか?
メイ:チレボンやインドラマユ、そしてインドネシア全土で、漁業やそれを生業としてきた人々に具体的に何が起きたのかについて知りました。魚がいなくなってしまったのです。 チレボンの名物は、テラシとよばれる小エビのペーストです。 ウィキペディアのチレボンのページにも、テラシについての記載を見つけました。 チレボンにとってのテラシは、米国人にとってはパン、日本人にとってはお米のようなものかもしれません。 問題は、この小エビの棲息地に発電所が建設されて以来、網いっぱいの小エビが採れなくなってしまったのです。今日出会ったドゥスマッドという漁師も、その影響を受けた一人です。 そこでドゥスマッド、塩づくりで生計を立てようとしたのですが、塩田は石炭灰が混じり、塩づくりには適さなくなっていたのです。ドゥスマッドと同じ村の住民たちは、インドネシア全土で活動中のNGO「インドネシア環境フォーラム(WALHI)」や「Jatam」、「グリーンピース」といった、350のパートナー団体による支援を受けています。 今週開催したこれらの団体とのミーティングで、チレボンの発電所2基を含め、インドネシアでは計109基、発電量にして3万5千メガワットの発電所の建設計画が進行中であることを知りました。 同国政府は、脆弱な環境影響調査基準などで、石炭プロジェクトを積極的にサポートしています。その上、これらのプロジェクトは、主に日本政府や民間銀行などからの多額の投融資を受けています。だからこそ、日本の預金者が自分の銀行どのようなお金の使い方をしているのかについて考え、アクションをとることが大事になってくると思います。
西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電所近くの自宅で、自分のX線写真を見せてくれたアイニちゃん(8歳)。肺の部分に小さな影が見える。
撮影:アンディレス・ランテ(Ardiles Rante)
Q:最後に、この体験を受けて感じたことを教えてください。
メイ:チレボンやインドラマユのように、最前線で闘う住民たちが日々味わうであろう挫折を思うと、打ちのめされそうになります。生業を奪われた上、文化の土台そのものまでが壊されているのです。 でも、別れ際のドゥスマッドのことを、私は決して忘れません。彼は、笑顔で私たちに祝福の言葉を伝え、私たちのために祈り続けると言ってくれました。気を落とさずに闘い続けるよう、励ましてくれたのです。滞在中は、私は米国から、キーストーンおよびダコタ・アクセス両パイプラインの建設をトランプ政権が承認したという非常に残念な知らせが届き、落ち込んでいました。しかし、世界を見渡せば、大切な土地や愛する人を守るため、至る所でこのような闘いが繰り広げられています。あるいは、それは水や汚染、気候への影響といった、地域の未来の安全に関わる闘いでもあるのですが、結局のところ、これらの問題は私たち皆に影響を及ぼします。
終
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自らお金の流れを考える
350.org Japanは、化石燃料や原発にお金を流していない、地球にやさしい銀行選びを促すMY …
連帯を強める:日本からDAPLに対する立場を明確にすること
2月17日金曜日、ダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)建設プロジェクトの投融資に関わる日本の三大銀行(みずほ銀行、東京三菱UFJ銀行、住友三井ファイナンシャルグループ)に対し、同プロジェクトからのダイベストメント(投資撤退)を求める11300人の署名を提出するため、この問題に関心のある市民によるグループが、日本のアイヌ民族の方やニュージーランドのマオリの人とともに、 東京に集まった。
東京での署名提出は 、DAPLに関わる17の米国や国際的な銀行に対し、同プロジェクトからの投融資撤退(ダイベストメント)を求める書簡を提出するという草の根レベルの多数の団体による国際的な連帯運動と同時に行われた。
DAPLをめぐる戦いの最前線にいる、建設ルート近くの居留地に住むアメリカ先住民スタンディングロック・スー族は、一連の緊迫した状況に立たされている。2月初旬、トランプ政権下で発出されたダコタ・アクセス・パイプラインとキーストーンXLパイプラインの建設を進めることを求める大統領令のもと、アメリカ陸軍工兵部隊が、プロジェクトに関する環境調査を中止し、建設を完了させる許可を与えると発表した。2月22日には、石油パイプラインの建設に反対し、現地にキャンプを設営して抗議運動を続けてきた人々に対して行政側による強制的な取り締りが始まった。
状況は過酷になる一方ですが、スタンディングロックの人々と彼らの清潔な水への権利を支持することを表明する投資家も現れている。特筆すべきは、アメリカで最も大きな公的年金基金の一つであるカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)が、主要なアメリカの銀行と国際的な銀行に対し、その他100以上の機関投資家とともに、DAPLのルート変更の努力を支持するよう呼びかけたのだ。この呼びかけを行った、機関投資家の運用資産総額は6,530億米ドル(約74兆円)で、決して少額ではない。CalPERSなどの機関投資家がこういった重要な市民運動を積極的に受け入れているということは、現在も運動に関わっている人々へ希望をもたらしたであろう。
上:みずほ銀行の前で(井口康弘)
アイヌ民族とマオリ民族の交流を推進するアオテアロア・アイヌモシリ交流プログラムの代表である、シマダ・アケミさんは、東京での署名提出に参加した。署名提出にあたり、シマダさんは水の重要性について強調し、「水はアイヌにとっても、すべての生き物が生きていく上で必要なものです。だからこそ、私たちアイヌは、日本の銀行にダコタ・アクセス・パイプラインから撤退するように申し入れているのです。」
署名提出者の一人、オカザキ・タカさんは、銀行が説明責任を果たし続ける上でメディアが果たす役割について強調した。メディアは「みずほ、三井住友、三菱東京UFJの広報部と連絡を取り、この署名についてどのように対応するのかといった簡単な質問を聞くべき」であると話した。
上:みずほ銀行前で(井口康弘)
パイプライン建設の人道的・環境的な影響に深い懸念を表明するために、異なった背景を持つ人々が集まることはとても美しく、素晴らしいことだ。情報を持つ市民の力が変化を生み出すということを強く信じさせる出来事である。
これらの銀行やその他の金融機関が投融資を行っている問題のあるプロジェクトを取り上げ、そのプロジェクトの持つ影響を自分ごととして捉え、 気候変動に起因する戦いに対して向き合うことが、世界中に広がる問題の解決へと一歩近づく一つの方法と言える。これらのプロジェクトは私たち一人一人に、個人的にも集合的にも影響を与えるものでもある。環境、人道、社会問題などが加速する中で、気候変動の問題に対してまったく関与がない人はいないだろう。点と点をつなぎ、私たちの生きる権利を脅かす問題に対して何ができるのか考えることを促すのが、私たちの社会的義務だ。
スタンディングロック・スー族への人権侵害は、直接日本の銀行の投資活動に関係があある。DAPLに投資している全ての日本の民間銀行が、金融機関にプロジェクトファイナンスの環境社会リスクの特定・評価・対処を求めるフレームワークである赤道原則に署名している。先住民族の生活への深刻なダメージの可能性や地元の抗議者への暴力的な取り締まりは、赤道原則に反する行為だ。
東京でのアクションをスタンディングロックでの運動につなげることは、私たちが本当の変革を求めて声を上げることを後押しする力と情熱を与えてくれる。
個人としてできることもある。これらの銀行へダコタ・アクセス・パイプラインへの投融資を止めるようにインターネットより簡単にメッセージを送ることができる。もちろん直接電話をしたり、手紙を書くことも可能だ。ぜひ銀行にあなたの一声を。
みずほ銀行本店
〒100–8176
東京都千代田区大手町1–5–5(大手町タワー)
03–3214–1111
意見・苦情専用ダイヤル 0120-324-221
意見フォーム https://www.mizuhobank.co.jp/info/goiken/index.html
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三菱東京UFJ銀行本店
〒100-8388
東京都千代田区丸の内2-7-1
03-3240-1111(本店)
意見・苦情専用ダイヤル 0120-309-333
意見フォーム http://www.bk.mufg.jp/voice/
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三井住友銀行本店
東京都千代田区丸の内1-1-2…
トランプ-安倍時代の日米関係はどのように進展するか? アジア太平洋地域における地球温暖化対策とパリ協定への意味
日本の内閣総理大臣安倍晋三氏は、11月19日から20日にかけてペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)の首脳会談への参加にあわせて、11月17日木曜日、アメリカ大統領に選出されたトランプ氏を訪問します。
現職の日本の総理大臣がそのように早いタイミングでアメリカの大統領に選出された人物を訪問した前例はありません。なぜ安倍首相は次期大統領トランプとその閣僚らとの友好関係を築く事にこんなにも熱心なのでしょうか?
安倍首相のウィッシュリストには、二つの主要課題が挙げられるとみられます。それらは日米関係への転換点と、アジア太平洋地域が真に持続可能な開発路線を歩むための可能性をもたらす物です。
- 環太平洋経済連携協定(TPP)
安倍首相の地政学上の野心と、アジア太平洋地域の経済政策の鍵を握るのは、TPPの早期締結です。安倍政権は、アメリカの選挙期間、パリ協定の批准をおしのけてまでも、衆議院でのTPP関連法案の審議を強行しました。結果、パリ協定の批准はずいぶん遅れてしまいました。オバマ大統領が強力なTPPの支持者であり、スポンサーであった一方、トランプ氏は、彼の政権下で迅速にTPPをゴミ箱に放り込むと明確に発言しています。アメリカの批准なしには、発効の条件である少なくとも6カ国の批准と、すべての交渉参加国のGDPの85%が満たされません。日本の自由民主党の大物議員ですら、協定は死んだと発言しています。このことは、中国の台頭に応えるための、安倍首相のアジア太平洋における経済貿易戦略の信頼性を失わせる結果となっています。
では、経済面において、安倍首相にできることは果たしてなんでしょうか。
まず、TPPを諦める事です。多国籍企業にさらなる自由を与える事は、政府による温室効果ガス排出削減の役割を低減させ、最下層への競争を早め、そして、格差の拡大を招くでしょう。さらに、中国をそういった経済のフレームワークから除外する事は、東アジアの緊張を高める結果になるだけでなく、中国が自分たちによるルール作りを追求する事に対して、さらに大きな理由を与えてしまいます。南シナ海をみただけでもわかりますし、また中国がスポンサーの機関(例えばAIIBなど)の設立につながります。
そのかわり、安倍首相はこの機会を、アメリカやトップダウンの少人数の利益のためのルール作りに依拠しない、すべての人に幅広い利益をもたらす代替の地域経済モデルを作り上げるために活用すべきです。そういった経済モデルは中国との協力も含め、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定と整合性のあるものでなくてはいけません。持続可能な未来にむかって地域協力や技術移転を生み出し、さらに2050年までに温室効果ガス排出ゼロ経済への変革を加速させるような、新たな経済の課題設定が必要です。
これを実行するためには、安倍首相にはクリーンコールと呼ばれる石炭利用技術の推進をあきらめ、再生可能エネルギーへの重点的投資が必要です。安倍首相はトランプの意向に引き込まれ、石炭と化石燃料の拡大をおこなう可能性もありますが、世界の大多数の意見に対抗して気候変動対策を怠れば、日本とアメリカのより一層の孤立化を招き、パリ協定の成功と皆が安心して暮らせる地球を台無しにします。
アメリカの場合、オバマ政権下で採択されたクリーンパワープランによる温室効果ガスへの排出規制を引き下げ、多くの汚い石炭火力発電所に影響を与え、国有地のリースに関する規制を緩和する可能性がありますが、これは石炭に対する需要の縮小とコストの拡大、対、再生可能エネルギー投資への需要の拡大とコストの縮小という、より大きな枠組みで見た石炭の経済性に大きな影響を与える事はないでしょう。日本の場合、海外における石炭開発の巨額の補助金を継続していることが、過去の電源としての石炭の延命につながるかもしれませんが、東南アジアの成長を続ける経済は、よりクリーンで、健康的な代替を求めるようになるでしょう。国内的には、48基の石炭火力新設計画がありますが、これはパリ協定を批准した日本の義務にまったくもって整合性を欠くものであり、日本の石炭への執着に対する国際的な批判をさらに増やすことになるでしょう。
トランプの化石燃料支持路線に従う事は、気候災害、経済の衰退、そして座礁資産化への確実な道を意味します。さらに、日本の化石燃料依存を深化させることで、再生可能エネルギーにおける中国の世界的なリーダーシップをさらに強化することになり、中国にさらなるソフトパワーと、この地域における持続可能な開発のための市場をゆずることになります。
石炭火力を推進するかわりに、アジア太平洋でさらに需要が拡大する再生可能エネルギーの分野で、日本の信頼性や価値ある技術で評判の日本の企業を活用し、日本の再生可能エネルギー市場、そして輸出を拡大していくことが出来ます。これはカリフォルニアなどのアメリカの先進的な州や、トランプが政権につこうとも気にせずに再生可能エネルギーの発展と確信を積極的に支援し続ける世界の技術を牽引するリーダー達との協力の元でおこなっていけます。日本を再び世界のリーダーとしての地位に就かせることにもなり、地域内での再生可能エネルギーの需要が成長するにしたがい、日本の経済面も強化するでしょう。
これは安倍首相のチェックリストの二番目の項目につながります。
2.中国と日米同盟
トランプが大統領選を勝利した事で、確実にアメリカはトランプ流の「アメリカ第一」の保護主義に向かっていくでしょう。これは中国を敵に回すことになり、もしも貿易規制が加速すれば中国が応酬にでざるを得ない事で、日本を含む市場がマイナスの影響を受ける可能性があります。アジアにおけるアメリカの役割に対するトランプの見方は曖昧です。そして安倍首相の主な懸念は、トランプによる、日本を護衛するためにアメリカが支払っているコストを全額負担すべきという要求と、北朝鮮の脅威に対抗するために日本と韓国は核武装すべきだという思いつきの発言です。
この発言が日本との二国間関係において何か実質的な変化をもたらすかどうかは疑わしいところですが、安倍政権は日米安保条約の重要性を強調し、中国の拡大するパワーと影響力に対して対抗するためアメリカの存在を東アジアにつなぎ止めたいと強く望んでいます。アジアでの防衛協力に対するトランプの冷遇は、安倍首相に独立した外交政策にむけた戦略的関係性を再考させるでしょう。
では、中国に対して何をすべきでしょうか?
封じ込め政策については忘れて、気候変動を止めるための協力を通じた地位安全保障の形成をおこなうべきです。中国はゼロサムゲームの中で、既に強い力を持っています。貿易を武器として使ったり、軍拡を通じて敵対関係を維持するのではなく、お互いのための経済的反映と、地域の安全保障のために中国とのさらなる協力に日本は向かうべきです。日本の繁栄は今や中国の繁栄と表裏一体であると認めるべきです。中国の参加なしで貿易ルールをコントロールしようとするよりも、レジリエントな炭素ゼロのインフラへの国際的な投資のための透明性の強化と、社会・環境へのセーフガードを強化していく事で、豊かで、持続可能でそして平和なアジア太平洋地域を中国とともに達成するべきです。それは国内的にも、二国間関係的にも、そして国際的にもウィンーウィンーウィンな解決策です。
パリ協定の発効を潤滑油として活用し、安倍首相は100%再生可能エネルギーベースのアジア太平洋地域を達成することに日本の企業が参加する新たな機会として、AIIB への参加を再考することもできます。化石燃料拡大への道を歩み続ける事は、単に危険な温暖化の未来に自分たちを閉じ込めることにしかなりません。地球規模の安全保障と経済的福祉に対してもっとも大きな脅威です。
日本のアジア地域での役割を再考する
ドナルド・トランプの第45代アメリカ合衆国大統領選出は、日米同盟を越えた地政学的、また、地域経済におけるオルタナティブを設定する機会と、経済的優位を誇る中国を、アジア太平洋地域の持続可能で協力的な未来に巻き込む機会を、安倍首相に与えました。つまりTPPを断念し、石炭技術の輸出をやめ、そしてパリ協定のもとで、未来の再生可能エネルギー技術に基づいた、持続可能、平和、そして豊かなアジア太平洋地域というゴールを中国とともに達成してくということを意味します。…
「ACT FOR 1.5℃」〜 日本のパリ協定批准、そして私たちのやるべきこと 〜
昨年パリで合意された地球温暖化対策を進める新たな国際的枠組み「パリ協定」への日本による批准が、昨日ついに衆議院の本会議で承認されました。これによって、日本は世界に大きく遅れをとるかたちで、11月4日に発効した「パリ協定」の103番目の締約国となりました。しかし、批准が遅れた日本は、7日よりモロッコの首都マラケシュで開催されている COP 22で行われるパリ協定のルールを作る第1回パリ協定締約国会合には残念ながら「オブザーバー」という形での参加となってしまいました。
そんな中、パリ協定が発効した11月4日に、350.org Japan は国連大学サステナビリティ高等研究所(UNU-IAS)および地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)との共催で「ACT FOR 1.5℃」アクションを国連大学前で行いました。「ACT FOR 1.5℃」は、パリ協定の中で定められている産業革命前と比べ世界の平均気温の上昇を「1.5度未満に抑える」という目標を達成するために、世界各国が迅速な行動を取るよう呼びかけるメッセージです。
アクションのために集まってくれた参加者にはハートや矢印の形をしたメッセージカードを渡し、「未来への想い」そして「気温上昇を1.5℃未満に抑えるために必要なアクション」を自分達で書き、掲げてもらいました。
アクションには、みんなが大好きなアースマンも駆けつけてくれました!
パリ協定は合意から、1年未満という異例の速さで発効しました。それは、米国や中国をはじめ、多くの国々がどれほど地球温暖化問題を危惧しているかを表しています。イギリスは2025年までに石炭火力発電所を全て閉鎖することを発表していて、スウェーデン政府は25年以内に電力を全て再生可能エネルギーで賄うことを方針として立てています。
10月に発表された Oil Change International による調査でも明らかになったように、パリ協定により定められた「1.5℃」目標を実現するには、世界は直ちに石炭や石油などの化石燃料への依存を断ち切り、クリーンエネルギー社会への迅速な移行を進めなければなりません。
日本政府は国内での石炭火力発電所建設および海外での石炭開発そして石炭火力発電技術の輸出に巨額な資金提供をしています。石炭は化石燃料の中でも、温室効果ガスの排出量が極めて高く、かつ粉塵やPM 2.5 の原因となることから、「最も汚いエネルギー源」だと言われています。「パリ協定」の締約国として、「1.5℃」目標への責務を果たすためには、日本政府は石炭技術の推進を見直す必要があります。
「パリ協定」を実現するのは各国政府だけではありません。一人の消費者としてこの問題に貢献する方法があります。それは、持続可能なお金の流れを構築することです。
地球温暖化問題への対策が大きく遅れているのは日本の政府だけではありません。私たちがお金を預けている銀行などの民間金融機関が地球温暖化の主な要因である化石燃料や持続可能でない原発関連企業へ多額な投資・融資を行っていることが350.org Japan による調査で明らかになりました。
そこで、地球環境を守るお金の流れをつくりあげるためのツールとして350.org Japanが提案するのがMY BANK MY FUTUREキャンペーンです。MY BANK MY FUTUREキャンペーンは、パリ協定の実現を支援するような環境に配慮した投資・融資を行っている金融機関を探し出し、応援するものです。一人の消費者にもできるのは、化石燃料および原発関連企業への投資・融資を行っている銀行から、そのような投融資を行っていない銀行へ預金口座を切り替えることです。社会と環境に配慮したお金の使い方を行う銀行を選ぶことで、地球温暖化問題に取り組む新たな方法として参加することができます。
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世界最大の資産運用会社ブラックロックは気候変動をポートフォリオのリスク要因に位置づける
フェレイドン・シオンシャンシ(Fereidoon Sionshansi)著
(2016年10月7日 のエナジーポスト掲載記事より [許可を得て転載 ])
世界最大の民間資産運用会社ブラックロックは、ポートフォリオ(投資家が保有する金融商品の一覧)の重要なリスク要因に「気候変動」を加え、リスク計算することを表明。ニュースレター「Energy Informer」出版者兼代表フェレイドン・シオンシャンシ氏が伝えます。 シオンシャン氏によると、この決定はエネルギー部門全体に大きな影響を与えるようです。
ブラックロックは、並大抵の資産運用会社ではありません。 4.9兆米ドル(500兆円超)もの資産を誇る、世界最大の民間資産運用会社です。 必然的に、同社の主張はもちろん、その企業行動は、とても重要な意味を持つことになります。 そのブラックロック社が2016年9月に発表したレポートは、少し控えめに言ったとしても、これまでのグローバル投資とリスク管理のあり方を変える転機となるかもしれません。 レポートには、こう明記されています。「もはや投資家は、気候変動を無視するわけにはいきません。 その科学的根拠について懐疑的な人もいるかもしれませんが、気候関連の規制や技術革新に向けた機運はますます高まり、誰もがその影響を受けることになるでしょう。」
(出典:http://energypost.eu/climate-change-becomes-prime-investment-driver/)
その先も引用します。「当社ブラックロックの精鋭な投資専門スタッフの知見に基づき、投資家は気候リスクをどう軽減できるか、またこれをチャンスとして生かせるのか、あるいはプラスの影響となり得るのか詳述します。 当社では、投資利益を最大化させるという従来の目標について妥協せずとも、気候に配慮した投資は可能である、という結論に至りました。 また今後は、気候をめぐる議論において検討されている手段も見つめていきます。そのひとつとして、コスト効率の良い排出量削減方法である炭素価格制度の導入が挙げられます。」
レポートは、こう締めくくられています。 「当社は、次の結論に至りました。 全ての投資家は、気候変動への認識を見極めた投資決定をすべきです。」
あまりに単刀直入だと思われるかもしれません。
高コストな天候
1980年から2015年までの米国で発生した10億ドル規模の災害
(出典:http://energypost.eu/climate-change-becomes-prime-investment-driver/)
要するに、ブラックロックは「気候変動を明確なリスク要因として、投資ポートフォリオのリスク計算をする」と言っているのです。 これは、まさに転機となる一大事です。
暴風雨などの気象災害がますます勢力を増し、多発していることなどを受け、投資家や保険業界も、気温上昇による影響を感じ始めています。
そこで、ブラックロックは、気候変動をめぐる新たなリスク管理方針として「温室効果ガス排出量を企業の売上高率として計算すること、気温上昇が企業収益にどの程度打撃となるのか予測すること、また廃棄物をほとんど出さずに生み出した売上高を計算すること」を掲げています。
つまり、今後ブラックロックは、投資対象となる全ての企業について、「どの程度の気候リスクにさらされているか」、「気候変動に影響されない企業体制が整っているか」、また「気候変動で得をするかどうか」といったことを検討していくことになります。 …
気候変動に関する「数値」を再考慮する
(執筆者 ビル・マッキベン、執筆先NEW REPUBLIC)
人類の未来は数学に依存しています。木曜日に発表された新しい研究内の“数値”は、今までで最も不吉なものでした。
その“数値”とは、単純な計算で、地球温暖化に地球をこれ以上蝕まれたくなかったら、世界の既存炭鉱や原油採掘用の井戸内に眠る化石燃料を、あとどれだけ燃やすことができるのか、詳しく説明しています。 言い換えれば、私たちの目標が、地球の温度上昇を2℃以下(世界の国々が合意した上限)に抑えるためには、あとどのくらい新たに掘削できるのでしょうか?
答えは、ゼロ。
そうです。今回発表された新しい研究によると、この壊滅的な温暖化を防止しようと真剣に考えるなら、今後一切、新しい炭鉱を掘ったり、新しい土地に油田用の穴を開けたり、さらにパイプラインを構築したりすることは許されないのです。 そう、ただの1つも。 既に私たち人間は、化石燃料の辺境地まで拡大し終えており、 今後私たちができる唯一の選択は、既に採掘済みの化石燃料由来のエネルギーを、迅速的に管理して減らすことです。
新しい数値は驚異的です。 わずか4年前に、「地球温暖化に関する非常に恐ろしい新たな数値(Global Warming’s Terrifying New Math)」」と題するエッセイを書き、 その中で、私はロンドンに拠点を置くシンクタンク、Carbon Tracker Initiativeの研究を引用しました。 その研究では、世界の化石燃料業界が特定する石炭、石油、ガスの未開発埋蔵量は、地球の温度上昇を2℃未満に抑えたい場合に私たちが燃やせる炭素量の、5倍にも及ぶことが明らかになりました。 つまり、エネルギー企業が所有権を主張する化石燃料を全て掘り尽くし、燃やしてしまった場合、地球が5倍加熱されてしまうということです。 この計算により、さまざまな大学や教会、財団が、化石燃料関連株からの大規模な投資撤退を始めました。 そしてそれ以来、投資撤退が社会通念となっています。 現在、中央銀行総裁や世界の指導者の多くが、化石燃料の埋蔵量の大部分を地中に残しておく必要があることに同意しています。
しかし、新しい数値はさらに強烈です。 これは、ワシントンに拠点を置くシンクタンク、Oil Change International(OCI)
…350との出会い
このブログは350.org Japanのイベントに参加した、ICUの学生小南菜月さんによって書かれたものです。
ICUには環境系のサークルや団体が企画を催し、学生が環境について考える機会を持つE-weeksと呼ばれる週間があります。
私はその期間中に、環境研究の授業のレポートを書くため350.org Japanのみなさんによる特別企画に参加しました。「『ダイベストメント』って何?」というタイトルで、参加する前の私はまさにダイベストメントとはいったい何だろうという気持ちでした。ダイベストメントとは、気候変動への懸念から化石燃料に関わる企業への投資をやめることです。日本ではほとんど知られていませんが、世界では40か国約500団体が取り組んでおり、その中には大学も多く含まれるのですが、その理由は企画の最後にわかりました。
はじめに気候変動を緩和させるために個人ができる取り組みを出し合いました。CO2を減らす、リデュース・リユース・リサイクルをする、節電する、自然エネルギーを利用する、植林する、地産地消などが挙げられました。
ダイベストメント運動が世界的にかつてないほどの盛り上がりを見せている背景には、2015年パリで行われたCOP21で産業革命前からの気温上昇を2℃より十分に低く抑える目標を掲げた上、さらに1.5℃以内と、より厳しい水準へ努力するという採択がされたことがあります。現在その1.5℃を守るために「あとこれだけ炭素を排出できる」という炭素予算はCO2換算で243ギガトンだそうです。そして現在地中に埋蔵が確認されている石炭などの化石燃料からの換算量は3670ギガトン、現在世界の年間排出量は40ギガトンです。つまり埋蔵量の90%以上は使えず、今のペースで排出を続けると6年で気温が1.5℃上昇してしまいます。
このように地球温暖化は急速に進んでおり、現在もカナダのフォートマクマレーでは山火事の時期が2か月早まり、5月10日にはソロモン諸島の島が5つ沈没したという報道があったそうです。そこで個人がそれぞれで行動しているだけでは足りない、もっと大きな組織を動かそうと立ち上がったのが350.orgです。
日本の大手銀行は石炭を含むに関わる企業へ莫大な投資をしていて、私達も知らず知らずのうちに地球温暖化に加担していること、同じように投資を行っている大学があることを初めて知り、驚きました。しかし、大学では情報を開示してくれないところもあるらしく、実際には状況がわからないそうです。
この企画で最も刺激を受けたのが、アメリカのスタンフォード大学でダイベストメント運動をしている二人の学生JosephとEmily、現在オーストラリア350.org職員で自分の母校にダイベストメントを行っているRayとSkypeで話したことです。スタンフォード大学では生徒の投票で75%の賛成を得て石炭関連企業への投資をやめることを大学が決め、今は次のステップに向けて模索しているそうです。
ICUの学生が、大学が投資先の情報を開示してくれない場合はどうしたらいいか尋ねたとき、「私達も同じ状況だったけれど、化石燃料に関わる企業をすべてリストアップしてそこへ投資しないよう大学に言ったよ。」と答えてくれて、なんてパワフルな学生達なのだろうと思いました。
アメリカやオーストラリアでは学生達が大学でデモをしたり、学長室の前に張り込んだりしてダイベストメント運動を展開しているようです。日本では考えられませんが、彼らはそのような日本でこそデモなんて起こったらインパクトが大きいのではないか、と話していました。なぜダイベストメント運動に関わるようになったのか聞くと、節電やリサイクル、研究なども大事だと思うけれど、そういったことはもう何十年もやっているのに状況は変わらない、市民が一体となってトップの決断に直接影響を与えたいと思ったからだそうです。
Rayの話にはさらに感銘を受けました。彼は学生時代、気候変動について調べるため奨学金を受けてモルディブから来ていたAdamと友達になったそうです。大学1年生のころRayは自分の大学が気候変動などについての勉強を教えているにもかかわらず石炭、化石燃料の会社に投資をしていて憤りを覚えました。水没の危機にさらされているモルディブから来たAdamもがっかりしてしまいました。親友が祖国を失ってしまう、彼の子どもは住むところもなく難民になってしまう、と思ったRayは自分が立ち上がるしかないと考え、ダイベストメントを始めたそうです。オーストラリアでは政府の情報開示法によって大学が情報開示を拒否できないようになっているそうです。E-weeksで参加した他の企画では個人個人が環境のことを考えてできることに焦点が当てられていましたが、その一方で、権力を持つ組織にはたらきかけるくらいしないと地球温暖化の状況は変わらないのかもしれないと危機感を覚えました。
大学でダイベストメントが行われる理由は、大学の求める学生像とダイベストメントの目的に重なる部分があるからだという話が出ました。正直、大学の教育理念や目指す学生像は文面で読むだけで深く考えたこともありませんでしたが、ICUが掲げる「信頼される地球市民を育むリベラルアーツのグローバルな展開」を考えてみると、自分もICUの学生として海外に目を向け、地球に目を向け、行動を起こさなければならないと思いました。デモをしたり実際に投資をやめさせたりすることだけではなく、今回のようなイベントを通じてもっとたくさんの人にダイベストメントについて知ってもらいたいとのことだったので、今回の体験を周りの人にどんどん話したいと思っています。
E-weeksのイベントで刺激を受けて自分も今後ダイベストメントに関わりたいと思うようになり、先日初めて350.orgのミーティングに参加させていただきました。一方的に話を聞くだけでなくグループごとに質問を考えるなど、とても参加しやすい雰囲気で居心地が良かったです。また、海外の方も参加していたので、本当に地球規模のことについて考えているのだ、という実感がありました。議題の一つに、新しいキャンペーン”My Bank My Future”が出てきました。2017年9月までに信用金庫・地方銀行・労働金庫を中心に3つの銀行にダイベストメントを表明、もしくは化石燃料・原発投資を行っていないことを宣言してもらうことを目指すキャンペーンです。E-weeksで聞いた話の中で最も衝撃だったことの一つが、自分の預金が化石燃料・原発関連企業へ投資されていたことなので、このキャンペーンを通して、私のように自分が銀行に預けたお金の行方など深く考えたことがない方に現状を知ってもらいたいです。
…企業の資産が突然負債に? 「カーボン・バブル」の隠れたリスク
インターンの高橋淳志です。
今日は350.orgが重要と考えている「座礁資産」と「カーボンバブル」について概説します。
座礁資産とは、現在埋蔵量として資産価値を持っている化石燃料や化石燃料関連インフラのうち、気候変動規制が行われることによって、その価値がなくなる恐れがある資産を指します。つまり現在化石燃料会社の資産として計上されている埋蔵資源が、使えないものに変わる恐れがあるのです。これには埋蔵されている化石燃料のみならず、石炭運搬設備、石油精製所、LNG液化基地なども含まれます。
350.orgによれば、現在の化石燃料埋蔵量に含まれる炭素の量は、2734から5385ギガトンに上ります。昨年のパリ協定では「産業革命前と比べて世界の平均気温上昇を1.5℃~2℃以内に抑える」という目標が採択されました。パリ協定の1.5℃目標を達成するためには、使えるのは200ギガトン程度、2℃目標の場合は470ギガトン程度しか使えないことになります。つまり現在確認されている化石燃料の埋蔵量のうち、約9割は使えないことになるのです。だいたい世界の二酸化炭素の総排出量が40ギガトン程度なので、今の水準の総排出量を継続してしまえば、1.5℃目標ではあと5年、2℃目標ではあと11年しか二酸化炭素を排出できません。
350.orgは、気候変動規制に伴って化石燃料資産が、資産として評価されなくなる状態を「カーボン・バブル」と呼び警鐘を鳴らしています。今まで資産だったと考えられていたものが、ある日突然資産でなくなり、化石燃料関連企業の株式や債券の保有者に損害と混乱をもたらす恐れがあります。
つい最近ライス大学のベーカー研究所が発表した作業文書によれば、化石燃料産業にとっての気候変動のリスクは以下の四つに分けられています。
・政策リスク(政府の規制や政策変更へのコミットメントのリスク)
・需要リスク(気候変動などによって世界的に需要が下がっているリスク)
・ダイベストメント・リスク(株主や草の根運動のプレッシャによって、投資家が化石燃料産業の株式の保有を避けるリスク)
・競合リスク(化石燃料生産者間の競合や、原発や再生可能エネルギーと競合するリスク)
作業文書の著者は、これらのリスクよりも、圧倒的に気候変動対策が失敗した時のリスクの方が大きいと主張しています。2006年に発表された「スターン・レビュー」と同様、気候変動対策コストは対策しなかった場合のコストを下回るという結論に達したものと思われます。
現在資産として計上されている化石燃料が座礁資産として日本でも顕在化すれば、多額のエネルギー事業を抱える日本の総合商社や、エネルギー関連企業にも大きな負の影響が及びます。これらの企業の株価が下落し、投資家の資産を傷つけることになると予測されます。
日本での座礁資産については「オックスフォード大学スミス企業環境大学院持続可能金融プログラム」が今年の5月に発表した報告書が日本でも報道されました。報告書は、日本政府が石炭火力発電を奨励してきたことを指摘し、現在計画段階にある49基の石炭火力発電所が完成すれば、供給過剰となって発電所が座礁資産となる恐れがあると警告しています。それらの資産の合計は約7兆円から9兆円にも上るといいます。発電所が座礁資産となれば、当然電力会社の負債となって、最終的には電力料金に跳ね返ってきます。電力会社の石炭偏重が、国民の負担を増やす恐れがあるのです。
(この報告書には日本人研究者から批判も出ています。例えば以下のリンクを参照ください。しかしこれらの批判は、石炭火力発電への投資を正当化するものではありません)
火力発電所は数十年運営してようやく元が取れる事業です。今石炭火力発電所に投融資するということは、30年後、40年後も使われるという見込みが初めて合理的に許容されます。この報告書は本当にそれらが必要なのかという、重要な疑問を投げかけています。
350.org およびその日本支部である350.org Japanは、気候変動による被害のみならず、気候変動対策によって発生する「座礁資産」や「カーボン・バブル」について警鐘をならしています。今後は個人のダイベストメントを促すMy Bank My Futureというキャンペーンを展開していく予定なので、今後とも350.or Japanの活動に注目してくだされば幸いです。
【参考リンク】
- ベーカー研究所の作業文書(英語) http://bakerinstitute.org/media/files/files/6b58fc69/WorkingPaper-ClimateRisk-072116.pdf
- オックスフォード大学スミス企業環境大学院の持続可能金融プログラムの報告書(日本語) http://www.smithschool.ox.ac.uk/research-programmes/stranded-assets/satc-japan-japanese.pdf
- GEPR:オックスフォード大の石炭火力座礁資産化論に異議あり(日本語) http://www.gepr.org/ja/contents/20160606-01/
【過去記事】先日開催したイベントの様子です。350.org/ja/ethicalinvestment_eventreport/
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【イベント案内】8/8(月)シンポジウム金融界の世界貢献:気候変動とエネルギー問題の解決に向けた社会的責任投資行動
この度、下記のイベントを開催する運びとなりました。
金融界の世界貢献:気候変動とエネルギー問題の解決に向けた社会的責任投資行動
日時:
平成28年8月8日(月) 19~22時(18:40開場)
会場:
WATERRAS COMMON HALL (ワテラスコモンホール)
https://goo.gl/maps/T1YXvniok6T2
〒101-0063東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地 WATERRAS COMMON 3階
アクセス:
東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅徒歩約2分
JR「御茶ノ水」駅徒歩約3分
東京メトロ丸ノ内線「淡路町」駅徒歩約2分
概要:
最近では気候変動リスクを配慮した投融資方針の策定が、企業の“社会的責任投資”行動の一環として注目を集めています。昨年12月のパリで開催された国連気候変動会議(COP21)では、金融安定理事会(FSB)によって気候変動関連の金融情報公開のタスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の立ち上げが発表されました。気候変動リスクを危惧し、米国の銀行が地球温暖化の原因であるCO2排出量が最も多い石炭などの化石燃料から投資撤退を表明するダイベストメントという動きにも関心が高まりつつあります。
これからは金融機関が気候変動問題に対して、どのような社会的な投融資方針を策定し、それを公開しているかどうかが企業評価の指標として用いられるようになるでしょう。このような背景から、350.org Japanは邦銀と機関投資家の化石燃料および原子力関連企業への投融資(株式、債券、融資、引受)状況を調べるため、142の金融持ち株会社およびその傘下にある198の子会社を対象にした報告書をまとめました。本シンポジウムではその報告書を発表するとともに、幅広い分野で活躍されている専門家をお招きし、脱炭素社会そして持続可能な未来の実現を支えるお金の流れをつくる道を探ります。
プログラム:
19:00~ ご挨拶 野中ともよ様(特定非営利活動法人ガイア・イニシアティブ)
司会: 桃井貴子(特定非営利活動法人 …
ユネスコに、世界最大のマングローブ林を保護するように要請するために、5万人が請願書に署名
インドとバングラデシュ沿いに広がる40万ヘクタールのシュンドルボン国立公園は、世界最大のマングローブ林です。この国立公園はベンガルトラの最大の生息地であり、イラワジ川やガンジス川のイルカなど、他の絶滅危惧種も保護しています。さらに、マングローブ林はシュンドルボンおよびその近くに住む400万人の人々を激しい暴風雨などの災害から守る、「防災の森」として極めて重要な役割を果たしています。
シュンドルボン国立公園は、1987年に世界遺産として登録され、生物圏保護区に指定されています。 生態系を維持し、この地域に住む人々の生活を向上させるための数十年にわたるさまざまな管理の取り組みが実施されてきました。
Bangladesh-India Friendship Power Company (Pvt) Ltd.(バングラデシュ・インド友好電力会社)の下で、NTPC India(インド国営火力発電公社)は、シュンドルボンの緩衝地帯から4キロ離れたところに1320メガワットのランパル石炭火力発電所の建設計画を進めています。この石炭火力発電所は、ポシュレ川から毎日、大量の水を汲み上げ、発電機の冷却後、汲み上げた水の役5倍の汚水を排出し、マングローブが頼る水を汚染し、水のバランスを変えてしまいます。 また、この発電所を稼働させるために、年間472万トン(大型ダンプカーおおよそ142万台)の石炭を輸入する必要があります。この量が、狭い水路を通って船で輸送されため、ポシュレ川は石油や石炭流出のリスクや騒音公害にさらされます。
石炭開発から世界遺産のシュンドルボン国立公園を守るため、この国立公園を危機遺産リストに追加するようにユネスコに求める請願書への署名を350.orgやFriends of the Earth U.S.などの国際環境団体が呼びかけました。5万人以上の署名者が集まり、来週イスタンブールで会合を開かれる世界遺産委員会に合わせて請願書はユネスコに今週提出されました。
住民の生活や健康および絶滅危惧種の生態環境を脅かすこの石炭火力発電所計画への資金が行わないように、私たちはインド輸出入銀行 (Export-Import Bank of India)に働きかけ、ランパル石炭火力発電所の建設計画に反対し続けます。
…
クールジャパン、それともコールジャパン?
[このブログは日本ダイベストメントキャンペーン担当の古野真がハフィントンポストへ投稿したブログである。 English below.]
G7伊勢志摩サミットに合わせて、日本の石炭推進の状況を世に知らしめるべく、「コールジャパン」キャンペーンを私たちは始動することにした。日出る国日本を「コール」な国から真に「クール」な国へと変えることが、「コールジャパン」の目的だ。
今週末三重県伊勢志摩で行われるG7伊勢志摩サミットを直前に迎え、現在世界中の目が日本の動向に向けられている。
G7が開催される伊勢志摩には日本が世界に誇る文化の象徴、伊勢神宮がある。またそれ以外にも、最先端テクノロジーやユニークなアートなど、日本は世界に誇るべき「モノ」や「文化」で溢れている。
このような「日本の魅力」を日本政府は組織的に世界に発信しており、その中でも代表的なキャンペーンが経済産業省が進める「クールジャパン」だ。
しかし、果たして日本は本当に「クール」なのだろうか?
あまり知られていないことだが、日本は現在石炭火力発電所を国内に47基新設する計画を進めている。これは他のG7諸国の脱炭素計画に真っ向から逆行する動きであり、石炭推進について日本はG7の中で完全に孤立している。
また、日本は他のG7諸国とは比べようのないほど巨額な公的資金を石炭関連プロジェクトにつぎ込んでいる。その額は2007年から2014年の間に2000億ドルに登る。日本には「クール」より「コール(石炭)」の呼び名の方が、はるかにお似合いのようだ。
近年では、G7の米国、英国やフランスなどが石炭事業への国際的支援に対する規制を厳しくしており、これらの国々は国内でも次々と石炭火力発電所を廃止している。イギリスはすでに完全な脱石炭化を達成しつつあり、アメリカも古い石炭火力発電所を急ピッチで閉じている。その数は過去5年間の間で200以上に達している。
しかし、日本は相変わらず世界一の海外石炭事業推進国として邁進しており、脱炭素化へと進む世界から次第に見放されている。
コールは一切クールではない。
石炭(コール)は自然環境にも人々の暮らしにも壊滅的な影響をもたらす地球温暖化の主な原因である。そして皮肉なことに、日本は気候変動による被害をもっとも大きく受ける国の一つなのだ。例えば、地球の平均気温が4度上昇すると、首都圏でも750万人が海面上昇による被害を受けると言われている。2度の上昇の場合でも420万人分の世帯が浸水すると言われている。
このような深刻な影響があるからこそ、2015年のG7では21世紀後半までに完全に脱炭素化した世界を目指すことが合意されたのだ。さらに、2015年の末にパリで開催された気候変動に関する国際会議では、2050年までに完全なる脱炭素社会を実現することが、世界195カ国により合意された。
言い換えると、温室効果ガスを大量に排出する石炭をエネルギー原として使用することはもはや不可能であり、「石炭にはもう未来が無い」と日本を含む世界が合意したのだ。そして上記の合意を達成するため、世界は温室効果ガスの大幅な削減と、再生可能エネルギーの導入を急速に加速させることが求められている。
一方、世界と結んだ約束とは裏腹に、国内で石炭火力発電所の新設を進め、世界の石炭事業を支える日本は完全に孤立している。しかも、日本は消費する石炭の100%をオーストラリアやインドネシアといった海外から輸入しているのだ。このまま石炭や化石燃料依存を続けると、国はエネルギー自給率を向上できず、また世界経済の不安定性にさらされることになる。
では一体、何が「コールジャパン」を支える原動力となっているのか?
その答えはすばり「お金の流れ」である。日本の公的金融機関や民間銀行、または機関投資家が運用するお金が、大手一般電力会社などへと流れている。これらの企業は自らの利益を守るために、再生可能エネルギーの導入や成長を、あらゆる手を使い抑えているのだ。
去年私たち「350.org Japan」が行った調査により、日本のメガバンクグループ(三菱東京UFJ、みずほ、三井住友銀行、三井住友信託銀行)が化石燃料や原発に関わる企業へ巨額な投資や融資を行っていることが明らかになった。2014年度での投融資総額は、なんと5兆3890億円にまで登った。
同報告書により、日本の生命保険会社も化石燃料・原発関連企業に約4兆3千億円の投資を行っていることが明らかになった。
しかし、同時に希望の光が差し込んでいるのも事実である。日本の金融と環境技術の力を持続可能なエネルギーに集中させれば、日本は必ず自然エネルギーの世界的リーダーになれる。日本では毎年約200億米ドルが新たな自然エネルギープロジェクトに投資されており、これにより年間800万キロワット(kW)の新たな電源が供給されている。これまでなんども大きな改革を成し遂げてきた日本は、世界の先を行く環境大国に成り上がるポテンシャルを十分に秘めている。
G7 が間近へと迫る中、日本は選択を迫られている。「コール」を選ぶのか、それとも「クール」を選ぶのか。世界は私たちの答えを待っているのだ。
350.org Japanは日本も正しい方向へと導くために、「#DivestJapan」キャンペーンを通して、日本の市民、銀行、生命保険会社、年金基金や公的機関が化石燃料や原子力に関わる企業から「ダイベストメント」(=投資撤退)をするよう呼びかけている。そして、ダイベストメントして引きあげた資金を、持続可能な開発を支える自然エネルギーなどへ転換することを提案している。詳しい情報は公式ホームページ www.350.org/ja にてご覧ください。
現在のお金の流れを持続可能な開発へと転換できれば、私たちは真に「クールジャパン」として世界から賞賛されるだろう。
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【ボランティアブログ】「本物に触れてみて」… by ゆうか
みなさんにボランティアスタッフのゆうかが書いたブログを紹介します。
素晴らしいメッセージなので、ぜひ最後までお読みになってください!
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みなさんこんにちわ!
3月からボランティアスタッフとして活動しているゆうかです。
5/11(水)、日本の大学で初となる350.orgイベント「ダイベストメントって何?~大学編~」を開催しました!
会場となったのは、350.orgJapanのフィールドオーガナイザー清水イアンの母校となる、国際基督教大学 (ICU)!
ICUでは、「E-weeks」と呼ばれる環境意識月間という期間があり、学生主体の様々なイベントが開催されます。
私たちのイベントでは、日本ではまだほとんど知られていないダイベストメントについてプレゼンを行い、その後には実際にダイベストメント運動をしている方3名をゲストにSkypeをしました。
そのゲストというのが、超豪華なんですよ。アメリカの超名門!スタンフォード大学の学生EmilyとJoseph、さらにオーストラリアの350.orgのRay。この3人と会場のみんなでSkype Talk ★
Skypeが繋がり3人の声が聞こえると、会場からは歓声が起こりました。
(本当に遠く離れた海の向こうと会話ができる、技術の進歩はすごいな〜と実感した瞬間でした。笑)
さっそく軽い自己紹介から始まりました。
そこで驚き!実は Emily は日本に住んでたり、Josephは日本へ留学していたらしく日本語がペラペラ。さらに Ray はオーストラリア育ちだけど、大阪生まれ!なのでセッションは日本語と英語で行いました。みんなまじで日本語うまい。
*最初のプレゼンの様子*
Skype Talkでは、
- なぜダイベストメント運動をしているのか
- 今までどのようにダイベストメントに関わるアクションをしてきたのか
- 質疑応答
を中心に話しました。
≪スタンフォード大学のEmilyとJoseph≫
EmilyとJosephは大学でダイベストメント運動をしているチームと直前までミーティングがあったようで、そこでスタンフォードを石油・ガス・タールサンドからもダイベストさせるために、「もっとアクションのレベルを上げよう!」と話していたらしいです。(ちなみに、2014年にはダイベストメント運動の効果があって、スタンフォードは石炭からダイベストメントしています!)とても楽しそうに語るEmilyでしたが、スクリーンを介してすら莫大なエネルギーを感じました。
Joseph は今大盛り上がりを見せている 「Fossil Free Stanford」(スタンフォードのダイベストメント運動をリードしているチーム) …
未来の選択:セヴァン・スズキと過ごした時間
5月8日の母の日、みなさんはどのように過ごしましたか?
350 Japanチームは明治学院大学で、「セヴァン・スズキのBe the Change ツアー@ 東京〜ミライノセンタク〜」をナマケモノクラブとの共催で開催しました!
1992年に12歳の若さでブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された地球環境サミットに「Environmental Childrens’ Organization」の代表として参加し、今でも語り継がれる「伝説のスピーチ」を披露したことでセヴァンさんは一躍有名となりました。現在も「環境文化活動家」として積極的に活動を続ける傍2児の母親でもある彼女からどんな話しを聞けるのか、イベントが始まる前からとても楽しみでした!
≪イベント当日もセヴァンの伝説のスピーチが上映されました。≫
第一部のスピーチの中では、セヴァンは環境活動と共に歩んだ人生や、環境活動に対する自らの考えについて語っていました。1時間に及んだお話しの中で、彼女は何事についても自分で「知ること」、そしてそれに対して自分で「選択する」ことの大切さを何度も訴えていました。
今やインターネットで世界が繋がっているため、同じ思想の仲間や賛同者を見つけることや気候変動や原発問題など、地球が抱えるあらゆる問題について情報を得やすい時代になりました。
地球の環境において、セヴァンは私たちが今「選択すること」が未来世代に大いに影響を与えるからこそ、私たち自身が自ら「Be the Change」、つまり変化を導かなければならないと強く呼びかけていました。12歳でリオでスピーチをした当時は、自分の将来への不安を訴えれば、世界のリーダーたちが不安の原因となる問題を解決しくれると思っていたことを振り返っていました。「大人になり、そして二人の子どもを持つ今、自分が動かなければ何も始まらない。自分は子どもたちのために活動をし続けている。」と話す彼女はとてもしっかりと足を据えていて、眩しかったです。
日本での「ダイベストメント」キャンペーンについても多大な期待を寄せてくれました。ダイベストメントは、お金の流れを変えることでより良い未来を構築できる手段として、個人レベルでも参加でき、そして社会全体の経済構造を変えることができる運動だと共感してくれました。
セヴァンが言う通り、ダイベストメントは化石燃料や原発に依存しない持続可能な社会のために、現在の社会のお金を流れについて自ら「知り」、そしてそれを変えるための「選択」を個人やグループですることから始まる活動です。
日本の銀行、保険会社、年金基金や公的機関などに所属している機関投資家に、化石燃料及び原発関連企業への投融資を停止・撤退し、自然エネルギー開発へと転換することを推奨する「ダイベストメント声明」も一人ひとりが取れるアクションとして紹介していただき、多くの人からに賛同していただけしました。
まだ声明文をご覧になってない方ははぜひご一報ください!!http://act.350.org/sign/divest-japan/
今後350.org Japan は、個人レベルで取り組めるダイベストメントとして、自分の銀行がどのような投資・融資を行っているかを知った上で、持続不可能な化石燃料や原発関連企業に投融資を行っていない銀行を選択する、Change Your Bankキャンペーンを展開していきます。今から日本の主な銀行や信用金庫の投融資状況を調査し、7月までにはその情報を公開したい考えています!
ご興味がある方は350.org JAPANのメールマガジンにご登録していただければ、定期的にキャンペーン・アップデートをお送りいたします。登録はホームページからお願いします。>> http://350.org/ja/
≪セヴァンさん家族、ナマケモノクラブ、ピースボート、パルシステムのイベントスタッフと集合写真!≫
日本でのダイベストメントキャンペーンについてセヴァンより励ましの言葉をもらい、本当に光栄でした。未来に良い変化をもたらすために、これからさまざまな活動を通して、ダイベストメントを日本で広めてていきたいと思います!これからも 350.org Japan をよろしくお願いします。
当日の写真は350 JapanのFacebookページにあるイベント・アルバムからアクセスできます:http://bit.ly/1T7800v…
立ち上がる人々を守る
[このブログは化石燃料産業に対して世界中で立ち上がっている運動家をターゲットした暴行事件の多発を受け、350.org 事務局長メイ・ブーヴィが執筆した記事です。]
正義を求め、化石燃料産業に「ノー」を突きつけてきた運動家は世界中にいますが、ここ数週間、非暴力運動を率いる彼らに対する暴行事件が多発しています。その知らせに、私たちは深く落胆すると同時に、大きな悲しみを感じています。脅迫や死傷事件にまで発展したケースも多数あります。
今日受け取った知らせによると、バングラデシュで石炭発電所建設に抗議していた運動家たちが殺害されたそうです。先週金曜日は、気候変動により深刻化する干ばつ被害で、公的支援を求めてきたフィリピンの農民たちが殺されています。2週間前には、南アフリカの砂丘地帯での採掘事業に反対していた運動家シクホシフィ・‘バズーカ’・ラテベさんが殺されました。そして1ヶ月前、ホンジュラスで先住民の人権や環境保護活動を率いてきたベルタ・カセレスさんが暗殺され、その数日後には、カセレスさんが代表を務めていた団体「ホンジュラス民衆と先住民の市民協議会(COPINH)」のメンバーであったネルソン・ガルシアさんも暗殺さています。
ベルタ・カセレスさん暗殺の知らせを受け取ったのは、環境保護や人権擁護、また民主的空間をつくり出すために取り組んできた運動家に対する弾圧に対して、どのように連携し対策を取ることができるか、協力団体と話し合っている最中のことだったのです。あまりにも受け入れがたい皮肉です。
「連帯して抵抗する」強い意志を貫くためには、もっと多くの人々が、さらに声を大にして訴えていくことが必要です。抗議の声を上げる勇敢な人々を、私たちは守らなければなりません。そして、暴力的な弾圧に沈黙などしないというメッセージを発信しなければなりません。化石燃料の採取産業と闘う世界中の人々が、今ますます一致団結、その連帯を広げています。これらの運動を、脅迫によってかき消すことなどできません。
暴力という手段に訴え、抗議の声が沈黙させられるのであれば、個人の自由や生命、そして民主主義も脅威にさらされます。暴力が生む「萎縮効果」- これによって人々は、外出も、堂々と異を唱えることも控えるようになります。けれど、そのような権力の構図を変えるために、これまで以上に大勢の人々が一斉に声を上げることで、大きな「抵抗の力」が生まれます。350で今もっとも頻繁に利用されているツールは、世界各地でアクションを展開、大衆を動員することを可能にします。世界中のどこであれ、抗議運動を行うのが難しいのであれば、発言を控えるのではなく、可能な限り手を尽くしもっと大勢で、さらに声を大にして訴えていかなければなりません。世界のどこかで、抗議運動を続けることにリスクが生じたのなら、その分は他の地域のできる人が、仲間や協力団体のために、これまで以上に力強く訴えていくのです。
抗議の声をあげる人々を守る。そのために取り組む多数の組織やムーブメントに、私たちは勇気をもらいました。「気候を守るための運動」と「自由と人権を守るための運動」。この2つを結び付ける大きな可能性を、私たちは見出しました。どちらにおいても、その最前線にある人々が直面する脅威は、根っこの部分でつながっています。また、気候変動による被害を最も深刻に受ける人々の基本的人権が無視されている状況で、気候の公平性(クライメート・ジャスティス)を訴えても、大きな効果は期待できません。
写真提供:AP通信ウィリアモア・マグバヌア
壊滅的な気候変動による最悪の影響を食い止める-これに成功するということは、つまり化石燃料を地中にとどめることができたということです。現在検討中の化石燃料採取計画は、世界中で数千件にも上りますが(石炭生産は減少しているものの、現在建設中または計画中の石炭火力発電所は2400件にも上ります)、それを阻止するための運動は、始まったばかりです。これらのプロジェクトが計画されている多数の地域では、抗議運動に対して最も厳しい規制が課されています。同時に、南の発展途上国でも北の先進国でも、暴力的な弾圧にさらされるのは、すでに社会の隅へ追いやられてきた人々であることが多いのです。
昨年は、化石燃料産業を相手に数々の勝利を勝ち取り、気候ムーブメントをめぐる流れが変わるのを目の当たりにしました。「化石燃料時代の終わりは、もうすぐそこにある」という事実に、多くの私たちが勇気づけられました。北極海では、石油大手シェル社による掘削事業が計画されていましたが、カヤックに乗った運動家たちが海上に集結、石油掘削装置が北極海に向けて出港するのを阻止しました。その後シェル社は、掘削許可を取り下げました。米国では、オバマ大統領が原油パイプライン「キーストーンXL」建設許可申請を却下しました。ブラジルの5つの州では、シェールガスを採取するために行われるフラッキング(水圧破砕法)が一時的に禁止されることになりました。昨年新たに設置された発電設備から供給されるエネルギー容量の90%は、再生可能エネルギーによるものです。
しかしながら、化石燃料から「再生可能エネルギー100%」への移行という大規模経済改革を、権力者からの抵抗無しに進めることは不可能です。なんといっても、「金もうけ」の歴史において、化石燃料は最も高い収益を上げた産業のひとつであり、このようなムーブメントを相手にすることにも慣れているはずだからです。化石燃料産業を拡大する人間の「欲」。それは、かつてないほどの勢いで格差をも拡大させています。史上最大のリーク「パナマ文書」が明らかにするまでもなく、石油・天然ガス産業がタックスヘイブン(租税回避地)という悪を利用してきたのは明白です。
いかに敵が手ごわいか、お分かりいただけたかと思います。でも、手ごわいのは、私たちのムーブメントも同じです。石炭事業拡大の恐れがあり、抗議運動に対する政府圧力の強まるインドでも、「再生可能エネルギー100%」へのムーブメントは、屈するどころか、ますます高まる一方です。気候変動の原因となる温室効果ガスをほとんど排出していないにもかかわらず、それによって深刻化する台風や干ばつの被害を受けているフィリピン。現地でもう何年もの間、「クライメート・ジャスティス」を訴えてきた350のスタッフ、ゼフ・レポーロによる熱意あふれる活動は、私たちに勇気を与えてくれます。南アフリカでは、首都ヨハネスブルクのあるコミュニティが、石炭ではなく再生可能エネルギーを安定した電力の供給源にするよう初めて訴えました。
5月、化石燃料からの「Break Free(解放)」を目指し、350と多数のパートナー団体は、世界各地でアクションを展開します。採取産業の暴力や破壊行為からの解放は、かつてないほど急務ですが、このような運動を行うことが難しいとされる地域でも、アクションを展開していきます。できるのであれば、あなたにも、ぜひご参加いただきたい。できないようであれば、遠くからでも、どうか別の形でご参加いただきたい。「Break Free」を目指し、世界中の人々が一致団結、声を大にして解放を訴え、この運動への注目を集める。これこそが、暴力で反対意見を黙らせる相手への、強力な防衛手段となるのです。
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金融 X 気候変動:Divestment Movie Night + みんなで戦略会議 !
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「金融 X 気候変動:Divestment Movie Night + みんなで戦略会議 !」
日時:3月18日 17:00 ~ 18:45
会場:Commune 246 自由大学 https://freedom-univ.com/campus/commune246/ (最寄駅; 表参道 A3 出口 徒歩5分)
主催:350.org Japan (350.org/ja)
参加費:無料
申込み方法:
以下のURLからお申込みください。
http://goo.gl/forms/ZZvS8Fsnqy
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「お金の流れ方」を見直すことで、危険な地球温暖化を防止しようとする動きが、世界中で活発化しています。その中でも、今注目を集めているのが「ダイベストメント」(Divestment)です。
今回は、まだまだ日本では耳にしないこの「ダイベストメント」についての映画上映会パーティを開催します!上映する作品は日本では未公開の、オランダのダイベストメント運動を追ったドキュメンタリーです。
・地球温暖化を生み出してきた仕組みについてもっと知りたい
・お金 X 地球温暖化のつながりについてもっと知りたい
・「ダイベストメント」について深く知ってみたい
・地球温暖化に取り組む NGO の活動に興味がある・関わりたい…
なぜ化石燃料の80%を、地中にとどめておかなければならないのか?
それは、生命の存続がかかっているから。 ごく短期間でもたらした大きな変化について、ビル・マッキベンが語る。
イエス!マガジン掲載記事より(英語) 2016年2月15日寄稿
一般的には理解しがたい政治の世界を、物理法則は、一目瞭然にしてくれます。 「簡単」ではないけれど「シンプル」に、 物事を分かりやすくしてくれるのです。
政策とは、様々な妥協であることがほとんどです。 増税を取るのか、公共サービスのカットを取るのか。規制強化を取るのか、言論や行動の自由を取るのか。 何を優先しバランスを取るか、私たちは日々試行錯誤しています。 仕事帰りの一杯は大事だけれど、飲酒運転はダメ!というように。 両立し得ないものの間でバランスを取り、妥協点を探るため、皆が多少の不満を感じても、それが正しいし仕方ないと思いがちです。…
新たな炭鉱開発計画により、水不足と健康リスクに直面する南アフリカのスプリングズ地区の地域社会
南アフリカ共和国ハウテン州イーストランドのスプリングズ地区では新たな4つの炭鉱の開発計画により、小川および地下水の水源が深刻な危機に直面しています。
これらの炭鉱に関する情報を得るのは難しいと考えられ、地域社会の間では懸念が広がっています。 鉱物資源省が鉱業に関する情報は公開すると発表したにも関わらずです。
採掘事業は南アフリカの経済的・政治的な観点において不可欠な役割を果たしてきました。 しかし、その採掘事業は大規模な環境破壊や社会的損害と引き換えに少数のエリート層に莫大な富をもたらしています。
スプリングズでの採掘事業は1888年から実施されています。 時が経つにつれ、有限な鉱物資源の枯渇により閉鎖される鉱山も出てきました。 採掘活動が途切れると、これらの地下鉱脈内の水位が以前の水準より上昇して硫化鉱物と接触することで水質が強酸性になる生態学的過程が始まりました。…